バグダッド中心部のカラダ地区で車輛による自爆攻撃の現場(2016年7月3日)
・シーア派が多数を占める商業地区カラダの自爆攻撃で292人死亡、200人以上負傷
・1度の爆弾テロの犠牲者としては2003年のイラク戦争後で最悪
・ISが犯行声明。ラマダン(断食月)開けのイード祭りの賑わいを狙った。
・3件の自爆攻撃で少なくとも35人が死亡、60人が負傷
独立調査委員会の調査結果について話すジョン・チルコット委員長
・戦争の大義とされた大量破壊兵器について、「当時のイラクは経済制裁が続くかぎり核兵器の開発は不可能だった」と指摘。生物化学兵器の製造についても「疑惑の域を出ない」
・「ブレア元首相がブッシュ前大統領に共同歩調を確約する文書を送っていた」として、開戦前に両首脳の間で旧フセイン政権の打倒に向けた合意があったとする見解
・「イギリス政府は武装解除などの平和的な手段を尽くす前に、大量破壊兵器に関する不十分な情報を基にイラク戦争に踏み切った」「我々は、イギリス政府が、平和的な武装解除を検討する前に、武力侵攻に参加する道を選んだとの結論に達した」「当時、武力行使は最終手段ではなかった」
ブレア元首相
・「10年間の首相在任中、最も困難な苦渋の決断だった。決断の責任はすべて負う」
・「私には想像されている以上に、後悔と謝罪の気持ちがある」
・「フセイン政権は実際に化学兵器などを使用したことがあり、予測不能な大惨事を引き起こしかねないと考えられていた」
・フセイン政権を打倒したことが中東などでのテロのまん延を招いたとする批判については、「全く同意できない。フセイン自身がテロの根源であり、平和と自国民への脅威であり続けた。 サダム・フセインがいなくなったことで、世界はよくなった」
・イラク戦争で息子を亡くした女性「驚いた。思っていたよりも厳しい報告書だった」「ブレア氏がなぜほかの解決策をとることなく戦争に突き進んだのか、私たちはまだ納得していない。ブレア氏は、独裁のフセイン氏を追い払おうとして、同じくらい悪いことをした。戦争犯罪を裁く国際刑事裁判所で裁かれるべきだ」
・弟を亡くした女性「ブレア氏は私の家族を奪った世界で最悪のテロリストだ。イラクでは、市民が戦闘に巻き込まれて殺害され、今も破壊が続いている」
・ロンドン市内の会場の外で市民団体による集会…イラク戦争の犠牲者たちの名前を読み上げたり、ブレア元首相を非難するシュプレヒコール
イラク戦争への参戦を決めた当時の首相ブレア氏を非難するデモ参加者ら(7月6日、ロンドン)
・イラク参戦は「違法」だったとの考えを示した。死亡した英兵179人の遺族に謝罪した上で、責任の一端は自らにあると表明
・ブレア内閣では意思決定に当たり、ほとんど文書を提供されなかった」と指摘。参戦を正当化する文書はなく、法務長官による「合法」という口頭の説明だけが根拠になった
・国連アナン事務総長が04年にイラク戦争を「違法」と批判…「今は彼が正しかったと信じる」
(a)7/6 ホワイトハウスのアーネスト報道官
・「過去の誤りから米国が教訓を得ることが重要だ」と述べた。
・「オバマ大統領が長くイラク侵攻に反対してきたことはよく知られている」
「オバマ氏は大統領在任中、ずっとその結果(の問題)を解決しようとしている。将来の大統領も恐らく同じようにしなくてはならない」
(b)7/6 ブッシュ前大統領の広報担当者
・「(ブッシュ氏が)既に認めている情報機関の失敗や他の誤りはあったが、サダム・フセイン(元大統領)が権力の座にいないことで世界はよりよくなったと(ブッシュ氏は)信じている」
・7/6 世耕弘成官房副長官…米英の武力行使を支持した小泉首相(当時)の判断は「今日でも妥当性を失うものではない」
・川村泰久外務報道官…「わが国はイラクで人道復興支援と後方支援のみを行った。(参戦した)英国と同列に論じるのは適切でない」
・7/7 政府筋は(小泉の判断は)「現時点でも変更する必要はない」
「イラクは当時、大量破壊兵器を保有していない事実を証明しようとせず、査察受け入れを求める国連安全保障理事会決議にも違反した」
・琉球新報 (安倍政権は)「無責任極まりない。参戦国の多くが「判断を誤った」と結論付ける中で、国際世論と歴史の事実に背を向ける欺瞞に満ちた態度だ」
・東京新聞 「安倍政権、イラク戦争の判断変えず 「支持は妥当」 英の対応と違い」
・日経 「英国のイラク検証に見習え」「失敗を検証し、教訓を学ぶ。この能力があるかどうかで、国家の行方も左右されかねない。この点で日本の現状はかなりお粗末だ。政策決定の検証に努める他国の姿勢を、真剣に見習うべきだ」
・チルコット委員会報告はイラク反戦運動の中から対イラク戦争(石油のための戦争)に反対する世論の中で作られた。報告書が完成してから数年間も遅らされたが、ようやく公表された。ストップ戦争連合をはじめとした粘り強い闘いが膨大な報告書を公表させた。
・対イラク戦争の根拠とされた「大量破壊兵器」も「化学兵器」もイラクにはなかったこと、ブッシュ米国大統領とブレア首相(いずれも当時)が事前に共謀して対イラク侵略戦争を開始したことも明らかになった。対イラク戦争を行う国際法上の根拠も全くない中での無謀な戦争であることが白日の下に暴かれた。オランダのイラク戦争検証委員会(オランダのイラク派兵は国際法に適合しない)に続く世界の反戦運動の大きな成果である。
・チルコット委員会自体は対イラク戦争の合法性の判断を求められていない。ブレアの戦争犯罪を法的に追求していない。さらに、対イラク戦争がグローバル資本の中東石油資源支配のためであったことは意図的に無視している。占領直後にBP[英国石油]とシェル[英国とオランダが設立]が、そして日本の国際石油、帝石が石油権益を獲得しているなかで、この点も追求しなければならない。
・イラクに自衛隊を派兵しイラク占領を英国軍、オランダ軍、米国軍と担った日本政府は、対イラク参戦を「妥当であった」とする小泉政権の見解を一切変えていない。安倍政権が南スーダンでの武力行使、イラク・中東への軍事介入を狙っている中で、イラク戦争を、そして自衛隊のイラク派兵を自民党有力者としてあおり推進した安倍首相の戦争責任を追及しなければならない。イラク戦争検証委員会を少なくともチルコット委員会の水準で設置させていかなければならない。
・全交に来日するイラクのサミール・アディルさんたちはイラク占領に反対し、占領軍を撤退する闘い、石油労働者(イギリス占領軍戦車部隊の出動にも屈しないでストライキを遂行)の闘い、イスラム国の暴力との闘いを進め平和で民主的な社会の建設に取り組んでいる。韓国のハン・サンジュさんはイラク開戦直前のバグダッドでの「人間の盾」に参加してきた(韓国軍派兵によって退去させられた)。全交でチルコット委員会の意義を確認すると共に、安倍首相の戦争責任の追求、日韓、グローバル資本の南スーダン、中東への軍事介入を許さない闘いの方針を論議していく。
全交の同志のみなさんにあいさつを送ります。
イラク戦争の検証に関するチルコット委員会報告が提出されて、イラク戦争に対する私たちの運動の正当性が認められ、私たちは世界の人々に対する信頼を強めています。この報告の発表はイラクの私たちの確信を強めているし日本でも同じです。
今日の世界は2つの対立によって脅かされています。すなわち、第1には、イスラム主義のギャングどもによる脅威で、彼らはパリやブリュッセルやカリフォルニアやイスタンブールで、そしてついにはバグダッドのカラーダ地区で虐殺を行い、第2には、米国が先頭に立つ欧米陣営の極とロシアが先頭に立つもう一方の極の間の対立の激化が原因となっている第三次世界大戦の脅威です。本日ワルシャワで開催されたNATO首脳会議は、この紛争がどんな形の拡大をするのかを示しています。
今日の世界は私たちの運動を切実に求めています。今年の全交大会の任務はイスラム主義者のテロの危険と第三次世界大戦に行き着きかねない世界の両国間の紛争拡大の危険性を明確にすることです。
国際連帯万歳 全交大会万歳
イラク検証委員会の報告の公表に対するストップ戦争連合の受け止め
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2007年4月1日制定
2007年10月1日改訂
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2007年4月1日制定
2007年10月1日改訂