1カ月以上前から、ウクライナ危機について、一方ではロシア、他方ではNATOの間で綱引きが行われ、深刻化と、威嚇と、軍事増強と、外交努力と、経済制裁が行われたが破綻し、ついには今朝のロシアによるウクライナに対する軍事作戦に至った。
ウクライナ危機は、アメリカ合衆国を中心とする西側諸国によって仕組まれた危機である。ロシアの膨張に立ち向かい、その影響力を弱め、ヨーロッパのレベルだけでなく全世界的にロシアを政治的、経済的、軍事的に封鎖しようとする、その有料メディアによる最近のあらゆる主張とプロパガンダに反して、アメリカ合衆国は、西側の軍隊がロシアの国境に近づくようにウクライナをNATOに引き込もうとし、その危機をあおる役割を担ってきたのである。同時に、ウクライナ危機は、ヨーロッパをアメリカの指導下に置くために利用されている。同盟がほとんど崩れかかった後、ヨーロッパに対する政治的、軍事的、経済的覇権を永続させようとしているのであり、同盟が崩れると、ヨーロッパはフランス・ドイツに主導されて、アメリカから遠く離れたロシアと経済上・政治上の取引を成立させることができるようになるのである。
ウクライナ危機における今日の核心的問題は、ドンバスにおけるロシア人の存在とも、ロシアの支配階級が主張するように彼らの安全と完全性を維持することとも、NATO支配階級主張するように「ウクライナの主権と「自由と民主主義」を守ることとも、何の関係もない。ウクライナは今日、世界の帝国主義諸国の力を示す戦場となっており、ウクライナの支配的政治階級は、アメリカと西側の手にある操り人形にすぎず、ウクライナ国民の安全と安心を、世界の帝国主義諸国の利益、その紛争、拡張主義の野望の祭壇に捧げるものとして提供してきた。
ロシアの軍事作戦は、アメリカによるごろつきの無法行為や西側諸国の同盟国と同じ論理で、特に地域とヨーロッパに軍事力による支配を押し付けるための軍事上のごろつきの無法行為である。それは、世界を再分割して、新たな多極化した、血で血を洗う世界にする戦争である。
労働者階級と一般ウクライナ国民は、規模の大小にかかわらず、この戦争に何の利益も持っておらず、政府の政策の代償を払うのは彼らである。同時に、西側諸国であれ、ロシアであれ、人々は、この危険な軍事的エスカレーションに何の利益も持っていないのであり、この国境に止まらないが、ロシアとNATOの相互の脅威は、戦争と軍国主義の恐怖と不安の雰囲気を世界に押し付けることになる。
今ウクライナで起こっていることは、世界の帝国主義国、一方はロシア、他方はアメリカ、イギリス、フランス、ドイツが権力と利益を分有するための軍事的手段を用いた政治・経済紛争であり、今日目撃していることは、新しい世界帝国主義戦争の危険にさらされた世界の安全と安心の危険を示す軍事エスカレーションである。
イラク労働者共産党は、軍事的・武力的脅威とロシアとNATOが行ったことを最も強い言葉で非難しながら、ロシア、ウクライナ、西側諸国、そして世界の労働者階級に、この紛争の当事者の背後に引きずられず、ロシアでも西側でも支配政治階級に対して一つの人道的戦線に立ち、人権、主権、自由、民主主義に関する彼らの政治の偽善を暴露しようと呼びかける。この戦線は、ウクライナと世界における戦争と秘書的雰囲気を、帝国主義戦争の亡霊からの次元で終わらせることができる。戦争は、直ちに、無条件にやめなければならない。